地元の調布にもかろうじてまだ少しだけ茅葺の民家が残っています。
野川沿いにも一軒ありますが、やはりそのたたずまいは美しいです。
写真は、民家とは少し違いますが、深大寺の本堂の隣にある庫裏です。
神社やお寺の建物は、子どもの頃からいつものように遊んでいた場所であるからか
不思議と魅かれるものがありましたが、今はむしろもっと身近にあったはずの
古民家のたたずまいに感心が移っています。その中でも一番の関心は構造部分です。
身近にあったはず…というのは、子どもの頃を思い出すと近所友人の民家の風景など意外と
覚えているのですが、今はなくなっていて、むしろ自分でさえ忘れつつあった…という意味です。
それほどまでに、いわゆる伝統構法で造られた古民家と呼べるものが
どんどん街から消えてしまっているのが現実です。
一方で今残っているものは、それこそいろんな意味で大変貴重で
構造的にも優れていても、それでさえ利用されずに解体されていくことが
何とも悲しいのですが、裏を返せば、そこにはいろんな現実的な事情があるのだと思います。
設計に携わっている立場として、その原因をまずは冷静に受けとめつつも
今の在来構法だけではなく伝統構法の多角的な検証をしていく必要があると考えています。
法整備が整っていないこともあり、木造の場合まだまだ感覚こそ大事だと
言える部分は確かにありますが、誰もがふれずに目をつむってきた部分にこそ
客観的に検証していく姿勢は生涯追及していきたいと思っています。